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パリ条約とは?知的財産を国際的に守るための重要ポイント

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パリ条約(正式名称:「工業所有権の保護に関するパリ条約」)は、1883年に採択された国際条約で、特許、商標、意匠(デザイン)などの工業所有権を国際的に保護するための基本的な枠組みを提供するものです。

この条約は、加盟国に対して一定の義務を課し、知的財産権の保護に関する国際的な基準を確立しています。

パリ条約には3つの主要な原則があります。「内国民待遇」、「優先権」、および「特許の独立」という概念がその中心となっています。これらの原則を順に解説します。

こんな人におすすめ
  • 自社の知的財産を国際的に保護したいと考えている人
  • 自身の発明やデザイン、商標を国際的に守るための基本知識を学びたい方人
  • 国際知的財産法の基礎を学びたい人

内国民待遇(National Treatment)

内国民待遇とは、パリ条約の加盟国が、自国民に与えるのと同じレベルの保護と権利を、他の加盟国の国民にも提供する義務を意味します。

これにより、各国は、自国の法律で定める知的財産権の保護を、外国の申請者や権利者にも適用しなければなりません。

具体例

日本で商標を登録しようとするフランス人が、日本国民と同様にその商標保護の手続きを進めることができ、差別されることはありません。

同様に、日本人がフランスで特許を申請する場合も、フランス国民と同じ条件で申請できることが保証されています。

優先権(Right of Priority)

優先権とは、パリ条約加盟国のいずれかで知的財産権の出願を行った者が、その出願の日から一定期間内に他の加盟国で同一の出願を行う場合、最初の出願日を基準日として扱うことができる権利です。

特許や意匠の場合は12ヶ月、商標の場合は6ヶ月の優先期間が認められています。

具体例

日本で特許出願を行った発明者が、その12ヶ月以内にアメリカで同一の発明について特許出願を行う場合、日本での出願日をアメリカでも同じ出願日として扱うことができます。

これにより、他者がその間に同じ発明をアメリカで出願しても、日本での出願者が優先されます。

特許の独立(Independence of Patents)

特許の独立とは、パリ条約加盟国で取得された特許は、他の国での特許の運命に影響されず、独立して扱われるという原則です。
つまり、一国で特許が認められたり無効になったりしても、他国での特許に影響を与えることはありません。

具体例

ある発明が日本で特許を取得し、その後日本でその特許が無効とされたとしても、同じ発明に基づいてアメリカやフランスで取得された特許には影響がありません。

各国での特許は、その国の法に基づき独立して評価され、維持されます。

パリ条約に関連するその他の重要な規定

パリ条約には、内国民待遇、優先権、特許の独立以外にも、知的財産権の国際的な保護において重要な規定が含まれています。

これらの規定は、特許、商標、意匠などの知的財産権を保護し、国際的なビジネス活動を支えるための基本的な枠組みを提供しています。

以下は、パリ条約に関連するその他の重要な規定についての解説です。

共通ルール(Common Rules)

パリ条約では、加盟国が知的財産権の保護に関して従うべき基本的なルールが定められています。これには、以下のような規定が含まれます。

名称の保護

商標やサービスマークの保護において、名称が「虚偽の表示」を含む場合、その名称が誤認や混同を招くおそれがあるため、保護が拒否されることがあります。

これにより、消費者を欺くような不正な使用が防止されます。

義務的ライセンス

パリ条約は、特許権者が特許を十分に活用しない場合に、特定の条件下で義務的ライセンス(強制実施権)を設定することを認めています。

これは、特許権者が発明を市場に供給せずに放置することで、技術の普及が妨げられるのを防ぐための措置です。

原産地名称の保護

パリ条約では、原産地名称地理的表示も保護されています。
原産地名称とは、特定の地域で生産されたことを示す名称で、品質や特性がその地域に由来する場合に使用されます。

例えば、シャンパンやスコッチウイスキーといった名称は、特定の地域で生産された製品のみが使用できるとされています。

集団商標と証明商標

集団商標とは、あるグループや組合に所属するすべてのメンバーによって使用される商標を指します。これにより、消費者は製品やサービスが特定の基準を満たしていることを確認できます。

また、証明商標は、特定の基準に基づいて製品やサービスの品質を証明するための商標であり、一定の品質や特性を保証します。

特許の補充証明書

特許の補充証明書(SPC)は、特許保護が失効する前に保護期間を延長する手段として用いられるもので、特に医薬品や農薬の分野で重要です。

SPCは、特許出願から製品の販売承認までに長期間を要することを考慮し、その間の市場独占を維持するために設けられた制度です。

知的財産権の国際的執行

パリ条約では、知的財産権の国際的な執行についても規定しています。
加盟国は、他の加盟国で取得された知的財産権を認め、その権利を保護するために適切な措置を講じることが求められています。

これにより、知的財産権者は国際的に権利を主張しやすくなり、グローバルなビジネス活動が支えられます。

特許協力条約(PCT)との関係

パリ条約は、後に成立した特許協力条約(PCT)と連携して機能します。
PCTは、1つの国際特許出願を通じて複数の国で特許を取得するための手続きを簡素化するものです。

パリ条約による優先権を活用し、PCT出願を行うことで、発明者は世界中で特許保護を得ることが容易になります。

まとめ

パリ条約は、知的財産権の国際的な保護を確立するための基盤となる条約であり、さまざまな原則と規定によって知的財産のグローバルな保護を強化しています。

内国民待遇、優先権、特許の独立などの主要原則に加え、共通ルールや原産地名称の保護、特許協力条約との連携など、多岐にわたる保護措置が規定されています。

これらの規定は、企業や発明者が国際的に活動する上での信頼性と安定性を提供し、技術の進展と経済の発展を支える重要な要素となっています。

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